個人(平成28年3月31日以前は「居住者」(注)。以下同じ)が、住宅の新築もしくは取得又は増改築等をして、令和3年12月31日(平成28年11月改正により延長)までの間に居住の用に供した場合において、返済期間10年以上の住宅ローンを有することその他一定の要件を満たすときは、その居住年から10年間、年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定の金額を所得税額から控除できます(住宅借入金等特別控除、措法41①)。
(注)「居住者」とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居住を有する個人をいい、これ以外の個人を「非居住者」といいます。平成28年度改正により、平成28年4月1日以後、非居住者期間中に住宅の取得等をした場合でも、住宅ローン控除等の所得税等の特例の適用を受けることができるようになりました。
平成21年6月4日から令和3年12月31日(平成28年11月改正により延長)までの間に長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のもの(以下「認定長期優良住宅」という。)の新築又は建築後使用されたことのない認定長期優良住宅の取得をして居住の用に供した場合において、返済期間10年以上の住宅ローンを有することその他一定の要件を満たすときは、その居住年から10年間、年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定の金額を所得税額から控除できます(措法41⑩)
成24年12月4日から令和3年12月31日(平成28年11月改正により延長)までの間に都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する認定低炭素住宅に該当する家屋で一定のもの(以下「認定低炭素住宅」という。)の新築又は建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をして居住の用に供した場合において、返済期間10年以上の住宅ローンを有することその他一定の要件を満たすときは、その居住年から10年間、年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定の金額を所得税額から控除できます(措法41⑩)。
④住宅ローン控除を受けるには、確定申告をする必要があります。ただし、給与所得者は、1年目に確定申告をすれば2年目以降は年末調整で控除できることになっています(措法41㉕、41の2の2)。
(注)居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例と住宅ローン控除は併用できます
(注)軽量鉄骨造は、耐火建築物に含まれません。
㋑耐震基準適合証明書(家屋の取得の日以前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したもの。建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関又は住宅瑕疵担保責任保険法人(平成25年度改正により追加)が証明)
㋺建設住宅性能評価書の写し(家屋の取得の日以前2年以内に評価されたもので、耐震等級に係る評価が等級1、等級2又は等級3であるもの)
㋩既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書(加入後2年以内のもの)
建築後使用されたことのある家屋(耐震基準又は経過年数基準に適合するもの以外のものに限る。)で一定のもの(以下「要耐震改修住宅」という。)(注)を取得した場合において、その 要耐震改修住宅の取得の日までに耐震改修を行うことにつき申請等をし、かつ、その者の居住 の用に供する日(当該取得の日から6ヶ月以内の日に限る。)までに当該耐震改修(既存住宅 の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除の適用を受けるものを除く。)によりその要耐震 改修住宅が耐震基準に適合することとなったことにつき証明がされたときは、その要耐震改修 住宅の取得を既存住宅の取得と、その要耐震改修住宅を既存住宅とそれぞれみなして、住宅ロ ーン控除の適用を受けることができます。(措法41㉔、措令26㉘、措規18の21①②⑨四、㉑ ㉒㉓㉔、平成26年国土交通省告示第430号)
(注)適用対象となる建築後使用されたことのある家屋
(a)床面積の2分の1以上が専ら居住の用に供されるもの
(b)床面積が50㎡以上であるもの
(c)耐震基準又は経過年数基準に適合するもの以外のもの
(注)個人がその所有している家屋について、居住の用に供する前に増改築等をして、6ヶ月以内に居住の用に供した場合にも、適用が受けられます。
(a)増築、改築、建築基準法に規定する大規模の修繕・大規模の模様替
(b)マンションなどの区分所有部分の床、階段、間仕切壁又は壁の過半について行う一定の修繕又は模様替
(c)家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替
(d)家屋について行う建築基準法施行令第3章及び第5章の4の構造強度等の規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための修繕又は模様替
(e)家屋について行う国土交通大臣が財務大臣と協議して定める高齢者等(「一定の個人」に該当するものをいいます。)が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための「一定のバリアフリー改修工事」
(注)上記の「一定の断熱改修工事」とは、次のものをいいます。(①、②の工事はいずれも改修部位が新たにいずれも現行の省エネ基準以上の性能となるものに限られます。)↩
(a)改修後の住宅全体の断熱等性能等級が改修前から一段階相当以上向上し、かつ等級4相当となるような組み合わせの工事
(b)改修後の住宅全体の断熱等性能等級が改修前から一段階相当以上向上するような組み合わせの工事
(措法41①⑬⑮⑯、措令26①~④、㉑~㉔、措規18の21①~➂⑬)
住宅借入金等(償還期間10年以上の住宅ローン)の年末残高を基にして、次の算式により計算します(措法41②)。
住宅借入金等の年末残高 × 控除率 = 住宅ローン控除額 (百円未満は切捨て)
居住年 | 住宅借入金等に年末残高 | 控除期間 (10年間) |
控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|---|
年間 | 10年間 | ||||
平成21年 | 5,000万円以下の部分 | 1年目~10年目 | 1% | 50万円 | 500万円 |
平成22年 | |||||
平成23年 | 4,000万円以下の部分 | 40万円 | 400万円 | ||
平成24年 | 3,000万円以下の部分 | 30万円 | 300万円 | ||
平成25年 | 2,000万円以下の部分 | 20万円 | 200万円 |
居住年 | 住宅借入金等に年末残高 | 控除期間 (10年間) |
控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|---|
年間 | 10年間 | ||||
平成21年 | 5,000万円以下の部分 | 1年目~10年目 | 1.2% | 60万円 | 600万円 |
平成22年 | |||||
平成23年 | |||||
平成22年 | 4,000万円以下の部分 | 1% | 40万円 | 400万円 | |
平成25年 | 3,000万円以下の部分 | 30万円 | 300万円 |
居住年 | 住宅借入金等に年末残高 | 控除期間 (10年間) |
控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|---|
年間 | 10年間 | ||||
平成24年 | 4,000万円以下の部分 | 1年目~10年目 | 1% | 40万円 | 400万円 |
平成25年 | 3,000万円以下の部分 | 30万円 | 300万円 |
居住年 | 住宅借入金等に年末残高 | 控除期間 (10年間) |
控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|---|
年間 | 10年間 | ||||
平成26年 1月~3月 |
2,000万円以下の部分 | 1年目~10年目 | 1% | 20万円 | 200万円 |
平成26年4月 ~令和3年12月 |
4,000万円以下の部分 | 40万円 | 400万円 |
居住年 | 住宅借入金等に年末残高 | 控除期間 (10年間) |
控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|---|
年間 | 10年間 | ||||
平成26年 1月~3月 |
3,000万円以下の部分 | 1年目~10年目 | 1% | 30万円 | 300万円 |
平成26年4月 ~令和3年12月 |
5,000万円以下の部分 | 50万円 | 500万円 |
(注1)平成26年4月~令和3年12月の欄の金額は、その居住に係る住宅の取得等が特定取得(住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合における住宅の取得等をいう。)である場合の金額であり、それ以外の場合(消費税の課税対象とならない個人間の売買も含まれる。)における住宅借入金等の年末残高の限度額は一般住宅2,000万円、認定住宅が3,000万円となります。(措法41➂⑤⑪)
(注2)平成21年分以後の所得税においてローン控除の適用がある者(平成21年から令和3年12月までに入居した者に限る。)のうち、当該年分のローン控除額から当該年分の所得税額(ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額とする。)を控除した残額があるものについては、翌年分の個人住民税において、当該残額に相当する額(当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の5を乗じて得た額(9.75万円)を限度とし、特定取得に該当する住宅の取得等の場合は、当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の7を乗じて得た額(最高13.65万円)を限度とする。)を減額することとされています(地法附5の4の2①④⑥⑨)。なお、この減額の適用を受けるに当たり、市町村への申告は不要とすることとされています。
(注3)住宅借入金等の範囲には、新築住宅又は既存住宅の取得とともにする対象住宅の敷地の用に供される土地等の取得に要する資金に充てるための借入金等で償還期間10年以上の一定のものが含まれます(措法41①一~四)。
具体的には、次のような住宅の敷地の先行取得に係る借入金が住宅の借入金に加えられます。ただし、住宅の敷地に係る借入金だけを有する場合には、住宅ローン控除は受けられません(措法41①一、措令26⑧⑨⑲)。
(注4)給与所得者が使用者から借り入れた借入金(社内融資)で、貸付利率が基準金利(住宅金融支援機構、銀行の住宅資金の貸付けに係る金利水準を勘案して定める利率で、年0.2%(平成29年度改正により引下げ。改正前は1%)とされています。)に達しない利率である場合は対象となりません(措法41⑭、措令26㉗、措規18の21⑯)。
(注5)居住の用に供する部分と居住の用に供する部分以外の部分がある場合には、面積による按分計算が必要となります(措令26⑥、措通41-27)
(注6)定期借地件付住宅の購入資金に充てるための借入金で、定期借地権の保証金の支払いに充てることとなる部分についても、次の算式により計算した金額が住宅ローン控除の対象となります(措通41-28)
(注7)平成29年度改正により、住宅ローン控除の適用を受ける住宅(以下「従前住宅」という。)が災害により居住の用に供することができなくなった場合には、改正前の、災害により居住の用に供することができなくなった年に限り本控除を適用できることとする措置に代えて、災害により居住の用に供することができなくなった年以後の従前住宅に係る適用年について本控除の適用を受けることができる措置が講じられました(措法41㉔)ただし、次に掲げる場合のいずれにも該当しない年までの各年に限られます。
再建支援法適用者が再建住宅の取得等をした場合には、従前住宅に係る住宅ローン控除と再建住宅に係る住宅ローン控除を重複して適用できることとされ、その重複して適用できる年における税額控除額は、改正前の二以上の居住年に係る住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の調整措置によることとされています。
この改正は、平成29年分以後の所得税について適用されます。
また、従前住宅が災害により居住の用に供することができなくなった場合又は再建支援法適用者が住宅の取得等をした場合に住宅ローン控除の適用がある者のうち、当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額(住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額)を控除した残額があるものについては、翌年分の個人住民税において、残額相当額を次の控除限度額の範囲内で減額することとされました。この改正は、平成30年度分以後の個人住民税について適用されます。
居住年 | 控除限度額 |
---|---|
平成11年1月~平成18年12月 平成21年1月~平成26年3月 |
所得税の課税総所得金額等×5%(最高9.75万円) |
平成26年4月~令和3年12月 | 所得税の課税総所得金額等×7%(最高13.5万円) |
(※)平成26年4月から令和3年12月までの欄の金額は、住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合(東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合を含む。)の金額であり、それ以外の場合における控除限度額は所得税の課税総所得金額等×5%(最高9.75万円)とする。
(事例)
(計算)
(A)3,500万円(住宅ローンの年末残高)
(B)4,000万円(年末残高の限度額)
(C)A、Bのいずれか少ない方の金額 → 3,500万円
(注)平成30年分の所得税額が上記の住宅ローン控除額の満たない場合は、その所得税額が減税の限度となり、控除しきれない金額は翌年分の住民税から控除(限度金額があります。)されます。例えば、給与所得者で源泉徴収票に記載された所得税額が30万円の場合は、翌年分の住民税から、控除しきれなかった5万円(ローン控除を受けた年の課税総所得金額等の100分7(最高13.65万円)を限度)が控除されます。
(注)既存住宅で、取得の日以前20年(耐火建築物は25年)以内に建築されたものでない場合は、耐震基準適合証明書、住宅性能評価書の写し又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書が必要です。