個人が経済活動によって得た利益を所得といいますが、所得税法では所得を次の10種類に分類しています(所法21➀)。
①利子所得 ②配当所得 ③不動産所得 ④事業所得 ⑤給与所得
⑥退職所得 ⑦山林所得 ⑧譲渡所得 ⑨一時所得 ⑩雑所得
以上は総合課税による所得区分です。土地建物等の譲渡については租税特別措置法により、分離課税の定めがあり、その内容に従うことになります(措法31~40の3)。
なお、不動産業者が販売目的で所有している土地建物は、棚卸資産となり、その譲渡による所得は事業所得に分類され、不動産業者でない者が営利を目的として継続的に行う資産の譲渡による所得は事業所得又は雑所得に分類されます(所法33①②)。
譲渡所得
土地建物等の譲渡
事業所得・雑所得…棚卸資産の譲渡
営利目的で継続性のある譲渡
(注)土地建物等(措法31①) 土地等…土地及び土地の上に存する権利(借地権など) 建物等…建物及びその附属設備ならびに構築物
土地建物等に関する分離譲渡所得については所得税と住民税が課されます。この場合、土地建物等の譲渡による分離所得は、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える場合には長期譲渡所得、それ以外の場合には短期譲渡所得として区分して計算します
(措法31①②、32①)。
5年超 …長期
譲渡した年の1月1日における所有期間
5年以下…短期
平成30年に土地建物等を譲渡した場合は、平成24年12月31日以前…長期
取得日 平成25 年1月1日以後…短期 税額計算は、他の所得と分離して一定の税率を乗じて計算する分離課税の方法がとられています(措法(31①、32①、地法附34①④、35①⑤)。
長期譲渡所得の税率
原則的な税率…所得税15%・住民税5% (道府県民税2%、市町村民税3%)
短期譲渡所得の税率
…所得税30%・住民税9% (道府県民税3.6%、市町村民税5.4%)
(注)復興財源確保法の規定により、平成25年から25年間は基準所得税額に2.1%の特別税(所 得税)が上乗せされます(復興財源確保法9、10①、12、13)。長期譲渡:15%→15.315% ( = 15%×102.1% )、短期譲渡:30%→30.63% (=30%×102.1% )
土地建物等を譲渡した場合の課税関係については、いろいろな特例が設けられていま すが、主な特例は次の3つに分類できます。
譲渡所得の課税の特例
特別控除の特例
軽減税率の特例
交換・買換えの特例
(主な特例の具体例・詳細は次ページ以降の本節を参照)
①特別控除の特例
②軽減税率の特例
③交換・買換えの特例